ベクター × モーション こんなことも出来るのか!「ベクター」を使ったアニメーション作成術 RIZING × amanaimages

デバイスが多様化する現在において、グラフィック制作の現場で脚光を浴びているのが「ベクター」です。「拡大縮小しても劣化しない」「データが軽い」「色や形の変更が容易」などの特長が見直され、グラフィックの現場では「ベクター」のニーズが高まっています。

今回はビジュアル制作のトップクリエイター集団である株式会社ライジンで、スチルモーションを担当されている千葉 博充(チバヒロミツ)さんに、「ベクター」を使ったアニメーションについて話を伺ってきました。

ベクター素材とアニメーションの相性

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かつては、「扱いにくい」ということで敬遠されることも多かった「ベクター」ですが、その利便性が見直され、いろいろな制作の現場で再び浸透しつつあります。

従来のグラフィック制作やウェブ制作の現場はもちろん、アニメーション制作の現場でもベクター素材が活躍しているということで、株式会社ライジンの千葉 博充さんにお話を伺います。

rizing

千葉です。
ライジンでは「スチールモーション」や「アニメーション」の制作を担当しています。

amana

早速ですが、「スチールモーション」というのはどういったものですか?

rizing

「スチールモーション」は、簡単に言ってしまうと「写真を切り貼りして動かす」ことです。
ライジンはビジュアル制作の会社なので、カメラマンが撮ったものをレタッチして、クオリティの高い広告を作ります。その広告や媒体自体を動画として使えたら、ものすごい広告が作れるんじゃないか・・・というところから始まっています。

amana

なるほど、では「ベクター」はどういう場所で使われているのですか?

rizing

「ベクター」は適材適所で案件に応じて使い分けています。
そもそも動かして楽しいものとか、大きくて目を引くとか、広告にプラスアルファを加えて注意を引くことが目的なので、ベクターの素材を組み合わせたり、一からつくったりといろいろと工夫をします。
無料で配布されている素材なんかだと、余計なニュアンスが付いている場合があるのでちょっと使いにくかったりしますね。

事前に、アマナイメージズで販売しているベクター素材をお渡しして、ベクター素材を使用したアニメーションのサンプルを作成いただいています。

amana

お渡ししているベクター素材は、実際につかってみていかがでしたか? いろいろと製作段階では試行錯誤していただいていたということですが・・・。

rizing

ベクター素材なのであたりまえですが、拡大縮小や変形を繰り返しても品質が劣化しないところは、非常に使いやすかったです。色を自由に変えたり、複製が手軽にできるというのもメリットです。
あとは、素材として使いやすいようにレイヤーが整理されていて、加工して使う際に分かりやすくなっていたのがとても嬉しかったですね。

amana

お渡しした素材というのは、いわゆるイラスト的なものがほとんどですが、ラインナップとしてはいかがでしょうか。あったらよかったのにというようなものはありましたか?

rizing

素材としては網羅できていると思います。いろんな用途を考えて、幅広くバリエーションを用意しているんじゃないでしょうか。

個性のないシンプルなものがあれば・・・と思うことがありますが、個性がない=商品になりにくいですよね。逆に個性が強くでてしまっているものだと、素材としては限界ができてしまう。
アニメーションに組み込んでも、表現の選択肢がなくなってしまったりとかしますね。

そういった点では、今回のベクター素材は、ちょうどいい加減で作られていて、非常に使いやすかったと思います。

購入された方が自由にカスタマイズできる余地があって、いい具合の個性が持たせてあるので、素材が主張し過ぎない。
これだったら、バンザイさせるくらいのアニメーションであれば、初心者でも加工できるでしょうし、上級者であれば自分のやりたいように可変ができるという、絶妙なシンプルさがあると思います。

アニメーション制作の手法について

amana

それでは、実際のアニメーションの制作について伺います。素材をお渡しして、アニメーションをいくつか作成いただきましたが、ひとつ目は「街」がテーマですね。

rizing

この「街」のアニメーションは、いただいたベクター素材をそのまま使って作成しました。
建物や樹などの後ろを、ヒトや車が通る際に、ちゃんと前後関係があるようにしなければならないので、そこは素材を加工しています。
ただ動いているだけですと面白くありませんので、目的を持たせてアニメーションさせています。よく見ると、駐車場に向かう人がいたり、立ち止まったりして車が通り過ぎるのを待ったりと、ちょっと人間っぽさを出してあるところがポイントです。

amana

製作段階のものから拝見していますが、いろいろと細かい部分で凝っていますね。
ただ繰り返し動いているだけだと飽きてしまいますが、こういう感じでひと手間かかっていると見ていて飽きません。

もうひとつは、「野菜のネット販売」の図ですが、こちらはいかがですか?

rizing

いただいた素材を見ていて、浮かんできたアイディアが、野菜の生産から販売までみたいなものの説明図でした。
野菜を作るところからネット販売をして購入者に届けるところまでをアニメーションで表現したら、ユーザーは面白がってくれるのではと、思ったのがスタートになります。

まず、ユーザーがiPadで野菜を選択します。農家の人がそれを受け取って、野菜を引っこ抜くアニメーションがあって、それを実際に出荷するためにいろんなヒトが作業をしている。
トラックで注文した野菜が箱に詰められて届けられ、箱を開けたら人参が飛び出してくる。
もしかしたら犬がワンワンと吠えるかもしれないですし、子供が両手あげて喜ぶかもしれない。
そんなアニメーションをつくっていきながら、細かな動きをいい感じにできなかと試行錯誤するわけです。

amana

なるほど、一つのストーリーの中で、表現を作りこんでいくわけですね。

rizing

今回の場合は、素材を動かすというのは大変ではありません。
その代わりに、全体で大きなストーリーを考えて、ひとつひとつの動きが次の動きに繋がることを意識するようにしています。
例えば・・・人参を選ぶ→農家の人がしゃがんで人参を抜く→雲が流れる→車がガタガタ走る→箱が届く→箱が開いて人参が飛び出す→買ったヒト喜ぶ というのが気持よくつながって動くようにしています。

amana

要素がアニメーションで順番に表示されていくのは、とても分かりやすいです。
それぞれの相関性が非常に分かりやすくなるので、情報が伝わりやすいんだと思います。
アニメーションになってみると、その中に「気づき」や「驚き」がありますね。

rizing

通常の仕事でも、見た人をどこで驚かせられるかを必ず考えています。
どの案件でもファーストチェックがものすごく大事だと考えているので、そこで何か喜んでもらえたり驚いてもらえるようなところを必ずいれます。
全体を見ると、案外どうでもよかったりするところが重要だったりするんです。例えば、鳥がまばたきする・・・とかです。どうでもいい動きかもしれないですが、キャラクターをいきいきと表現できたりするんですね。

amana

ちょっとした工夫でキャラクターがいきいきして見えるというのは、とても重要ですね。
やりすぎてもクドくなってしまう気がするので、適切な加減を見極めるトライアンドエラーというのは必要かもしれませんが、アニメーションを作る際に意識しておくべきことかもしれません。

これまで見せていただいているようなアニメーションはどうやってつくっているのですか?
チームでやられているのでしょうか?それとも1人でやられているのでしょうか?

rizing

基本的に1つのモーションについては、1人で担当することが多いです。
案件によっては複数人で分担してやることもありますが、ツールなどの問題もあって、1人でやってしまうことがほとんどです。

ライジンの「スチルモーション」という「写真を動かす」ことに特化した商材があるのですが、その場合はレタッチャーに頼んで必要なパーツごとにレイヤー分けしてもらうこともあります。
パーツごとにレイヤー分けが終わっていれば、それを受け取ってアニメーションの作業に入るということが、いつもの流れです。

ベクター素材についてはパーツに分かれていてレイヤー分けの作業も不要なので、制作は1人でも問題ありませんでした。

amana

制作ツールというとどんなものをつかっているのでしょうか?

rizing

基本のアニメーション作業はアフターエフェクツ(※1)を使っています。
実際に動画の中に作ったものを組み込んで音をいれたりする場合だと、ファイナルカット(※2)やプレミア(※3)を使ったりすることもあります。

※1 Adobe After Effects。アドビシステムズが販売している動画エフェクト・加工、 動画編集ソフト。
※2 Final Cut Pro。アップルが開発・販売するノンリニアビデオ編集ソフト。
※3 Adobe Premiere。アドビシステムズが販売している映像・動画編集ソフト 。

amana

あとは、フォトショップ(※4)とイラストレーター(※5)を行き来して、制作を進めるという感じですか? 素材にモーションをつけてアニメーションを作る場合はどのくらい時間がかかるものなのでしょうか?

※4 Adobe Photoshop。アドビシステムズが販売している画像加工・画像編集ソフト。
※5 Adobe Illustrator。アドビシステムズが販売しているベクター画像作成、グラフィックデザインソフト。

rizing

そうですね。内容や長さにもよりますが、ベクターを使った簡単なアニメーションを作る場合は・・・。
まず基本的な素材をつくるのに1時間くらいでしょうか。アニメーション用に更に細かくパーツを分けたり、必要なパーツを作ったりという時間です。

そのあとのアニメーション自体がおそらく・・・ちょっとこうした方がいいかな、やっぱりこうかなとか、やりながらつくっていって、大体4〜5時間ぐらいで出来上がる感じでしょうか。

amana

なるほど、使える素材があっても、加工や追加の作業は発生するわけですね。

rizing

素材は、アニメーションの表現に合わせて加工していきます。場合によっては、新しく作る必要もあるかもしれません。
人の体が伸び縮みするとしたら、体の他の部分はどうなっていなきゃいけないのかを考えます。周りが歪むのであれば、歪むのを前提でレイヤーを作っていって、素材を用意しておく必要があります。 アニメーションをつくる前の、素材の仕込みと構想が一番時間がかかりますね。

これがライジンの「スチールモーション」だと、もっと時間がかかります。

例えば、マラソンランナーを動かすのであれば、ただ単に関節で動いて曲がっているように見えないようにします。関節で曲がるだけでも動いているように見えるかもしれませんが、関節が曲がったなら、筋肉のここが盛り上がらなければいけないとか、一緒に捻れたりする部分があればちゃんとそうなっていないと、それっぽくならない。
そういう場合は関節部分を変形させたり、表面部分をいじってみたりします。

踏ん張っている瞬間なのであれば、どこに力が入るのかを加味して、顔の表情を揺らしてみたりだとかしますね。口が半開きであれば、閉じたところからちゃんと半開きの状態になるようにします。
あとは、実際に走っている時にできる間をつくったりだとか、全身が細かく不規則に動いているだとか、動きを追求することがリアルにつながっていくので、こだわればこだわるほど時間をかける要素が増えていきますね。

amana

ツールや素材も大事ですが、どんなアニメーションを作りたいかということがすごく重要だというのがよくわかりました。

まとめ

amana

いろいろとお話ありがとうございました。
アニメーションに興味があるけど・・・という人には非常に参考になるお話だったと思います。

rizing

まずは、素材を揃えて動かしてみることをオススメします。実際に動かしてみようとしてみないと、気づかないことが必ずあります。あとは、どう動かしたいかというイメージをはっきり持つことですね。イメージがまとまることで、細かい動きなんかも見えてきます。

amana

ありがとうございました。
やっぱり実際に作ってみるというのが上達の近道なのでしょうか。
アニメーションに興味がある方にはぜひチャレンジしてみていただきたいと思います。

チャレンジの際は、ゼロから素材を作るのではなく、ベクター素材を使ってみてください。
アマナイメージズのベクター素材は、アニメーション初心者にも、プロフェッショナルにも使い勝手の良い素材なので、ぜひ検索して購入をご検討いただければと思います。

アマナイメージズでは、使いやすさにこだわったオリジナル作品を含む、厳選したベクター素材を揃えています。アニメーションの素材としても、お使いいただけます。
また、どんなサイズにも適用することができるので、看板やポスター等の印刷用途はもちろん、WEBデザインやインフォグラフィックにもご利用いただけます。

今回のインタビューで登場した素材一覧

※クリックで作品の詳細ページが開きます。

  • 作品番号:60000000012
  • 作品番号:60003000028
  • 作品番号:60000000051
  • 作品番号:60000000237
  • 作品番号:60003000053
  • 作品番号:60000000028
  • 作品番号:60000000051
  • 作品番号:60000000034

株式会社ライジン

ビジュアル制作のトップクリエイター集団

株式会社ライジンは、TVCM・PV・web・グラフィックなどあらゆるビジュアル制作に関する実制作、その制作に関するディレクションを行うクリエイター集団です。
3DCG動画及び映像編集、静止画制作、フォトレタッチにおいて豊富は経験と表現力を持つクリエイターが連携することで、高品質なビジュアルを制作しています。

千葉 博充
チバ ヒロミツ千葉 博充

イラストレーション:尾堂萌実(RIZING)

制作会社(株)RIZINGにて「スチールモーション」「アニメーション」を多く担当。母体である(株)amanaにてレタッチャーとして入社。 前職が動画制作の現場だった事もあり、amanaで動画チームが設けられた時に参加。
クレイアニメーション制作会社である(有)I.Toonでのアニメーションの経験を活かし、「活きた」アニメーション作りを心がけるアニメーションディレクター。